マンション直上階の住人が床をフローリングにしたことによる騒音被害 |
Q | マンションに住んでいます。 私の住んでいるマンションの床はカーペット仕上げだったのですが、最近、直上階の住人が床をフローリングに変えたところ、足音やソファから子供が飛び降りるような騒音が頻繁に聞こえるようになりました。 |
A | 1.建築当初はコンクリートスラブ上をカーペット仕上げや畳仕上げにしていたのを、木質フローリングへリフォームするケースはしばしばあります。一般に、木質フローリング床は、カーペット仕上げ等に比べると衝撃音の遮断性能が低下するので、騒音の問題が発生します。 2.どのような請求が考えられるか フローリングの使用差し止めないしカーペット仕上げや畳仕上げへの原状回復、 および慰謝料の請求が考えられます。 3 判断基準 過去の裁判例によると、概ね「平均人の通常の感覚ないし感受性を基準として、 集合住宅における生活上やむを得ないものとして互いに受忍すべき限度を超えているか」 という基準によって判断されています (例えば、東京地裁平成6年5月9日判決)。 4 判断要素 過去の裁判例において、判断要素として挙げられたものは概ね次のとおりです。 1) 床衝撃音の遮断性能 日本建築学会は床衝撃音の遮断性能について等級を定めており、 どの等級に該当するかが判断要素の一つとした裁判例がいくつかあります。 2)実際の騒音の程度 この点については、裁判官が現場において実験(検証)を行うこともあります。 3)騒音の種類(日常生活に伴う音=生活音に限られるか) 4)騒音の発生する時間帯 5)家族構成 子供の年齢、数など 6)管理組合規約・使用細則 床をフローリングに変更する場合には、管理組合への届出や下の階の所有者の承認を 得ることを要する旨を管理組合規約や使用細則に規定している場合には、 これに違反しているか *裁判所はこれらの判断要素の全部または一部を総合的に判断して、騒音被害が 受忍限度を超えているかどうかを判断します。 5.判例の傾向 1)一般に、原状回復請求が認められるためには、慰謝料請求の場合よりも、受忍限度を 超える程度が高いことが必要であると言われています。裁判例をみても、 原状回復を認めたものはまだないようです。 2)慰謝料請求を認めた裁判例はいくつかありますが、割合としてはかなり少数です。 3)原状回復には相当額の費用がかかることもあり、裁判をしても認められる可能性は 極めて低いので、騒音被害を防ぐためには、できるかぎり工事が終わる前に解決する ことが必要と思われます。 |
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